- くんし
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くんし【君子】(1)学識・人格ともに優れ, 徳行のそなわった人。
「聖人~」
(2)身分・官位の高い人。(3)画題としての, 梅・竹・蘭(ラン)・菊のこと。 四君子。~の過ちは日月(ジツゲツ)の食(シヨク)の如(ゴト)し〔論語(子張)〕君子は過ちを犯すことがあっても, 日食や月食のように, 一時のことであって, すぐにもとの徳性にかえるということ。~の九思(キユウシ)〔論語(季氏)〕君子が常に心がけるべき九つの事柄。 視は明を, 聴は聡(ソウ)を, 色は温を, 貌(カタチ)は恭を, 言は忠を, 事は敬を, 疑は問を, 忿(イカリ)は難を思い, 得るを見ては義を思うこと。~の三畏(サンイ)〔論語(季氏)〕君子がおそれる三つのもの。 天命と大人(タイジン)と, 聖人の言葉。~の三楽(サンラク)〔孟子(尽心上)〕君子の三つの楽しみ。 父母兄弟が無事なこと, 天にも地にも人にも恥じるところのないこと, 天下の英才を教育すること。~の徳は風(カゼ)〔論語(顔淵)〕風が草をなびかせるように, 君子は徳によって人々をなびかせ教化するということ。~の=交わり(=交(コウ))は淡(アワ)きこと水の如(ゴト)し〔荘子(山木)〕君子は人と交わるのにさっぱりしていて, その友情は永久に変わることがない。~は危(アヤウ)きに近寄らず〔春秋公羊伝(襄公二十九年)〕君子は身を慎み守り, 危険なことははじめから避ける。~は器(キ)ならず〔論語(為政)〕器は用途が限られているが, 君子は一技一芸だけにかたよることはない。~は三端(サンタン)を避(サ)く〔韓詩外伝〕君子は, 文士の筆端, 武士の鋒端(ホウタン), 弁士の舌端(ゼツタン)を避けて身を守る。 つまり, 筆・武器・弁舌で人と争うことを好まない。~は周(シユウ)して比(ヒ)せず小人は比して周せず〔論語(為政)「周」はあまねく及ぶさま, 「比」はべたべたくっつくさま〕君子は広くかたよらずに人と親しむが, 小人は小さなかたよった党派を作りがちである。~は人の美(ビ)を成す〔論語(顔淵)〕君子は他人の長所や美点を見いだし, それを助け立派なものに完成させる。~は独(ヒトリ)を慎(ツツシ)む〔大学〕君子は人が見ていない所でもおこないを慎む。~は豹変(ヒヨウヘン)す(1)〔易経(革卦)〕君子は過ちをすみやかに改め, 善に移ることがはっきりしている。(2)俗に, 今までの思想・態度が急に変わること。~は交わり絶ゆとも悪声を出さず〔史記(楽毅伝)〕君子は交際が絶えても相手の欠点などを言いふらさない。IIくんし【薫紙】香料をしみ込ませた紙。 熱するか燃やすかして, 芳香を出させる。IIIくんし【裙子】「くんす(裙子)」に同じ。
Japanese explanatory dictionaries. 2013.